ロボット魂、人工魂を考える。

「『描く』を科学する」というアプローチによって、人間の描画行為の分析を、ロボットとシミュレータを用いた模倣の研究として推進してきたが、「どうやって描くのか?」のみならず「なぜ描くのか?」にも触れてゆく過程で、ロボットによる芸術表現の研究は、人間の生きる本質そのものの研究に直接的に繋がっていることが明らかになってきた。

私たちは、研究をより掘り下げる必要性を感じ、2007年と2008年の2回にわたり、ロボティクスの国際会議であるIEEE/RSJ International Conference on Intelligent RObots and Systems (IROS)において、"Art and Robots"と題したワークショップを開催し、科学技術(特にロボット工学)と芸術表現の関係について世界のロボット研究者たちと議論を重ねた。

また2008年には、日本科学未来館において『ヒューマノイドはヒューマンになれるか?』と題したシンポジウムを開催し、日本の代表的なロボット研究者らを招きロボットと人間の関わりについてディスカッションを行った(以下にこの際に編集したヒアリング集を掲載した)。

もとよりこのような大きな問題に対して、5年間のプロジェクトで解答を出せるはずもない。よってこうした議論の目的は、工学者・アーティストがそれぞれの立場からこの問題を論じることで、これまで意識されてこなかった新たな問題を提起することにこそある。

ヒューマノイドはヒューマンになれるか?

ロボット技術の進歩にしたがって、生活環境の中で人間との自然なコミュニケーションが、ロボットに、より求められるようになってきている。芸術においても、表現手段としてテクノロジーが利用されることが増えるにつれて、より深いレベルでのアートとテクノロジーの関わりが求められてきている。

この様な状況から考えても、ロボット研究者とアーティストの間に、研究としても表現としてもその問題の重なり合う領域がしだいに拡がってきているということが分かりる。「インタラクション」「癒し」「飽きる・飽きない」といった近接するキーワードを挙げることもできよう。こうした問題系は、今後双方の領域において、より重要性を増してくると思われる。

本プロジェクトのように両者が根源的な問題に関して対話の機会を持つことによって、今後さらに双方の領域での新たな可能性を見い出せるのではないかと期待している。